原文 一、大豆よく洗い大桶に入れ、大豆の上に至り候程、水を張りその水引き候得ば、搔き回しよく冷かし候ようにいたし置き、翌朝大釜へ入れ、 釜の八分目に水入れ候て焚き申し候、和らかに相い成り候得へば、木綿切れに大豆一粒包み、指にて押し出し出候得ばよろしく御座候、 その節臼にても半入桶〔半切桶?桶を半分に切った形に似ており、百四十~三百六十Lの大きさの桶〕へなりとも入れ候て搗き潰し、 一升玉位の玉にいたし、菰[まこも]の上に干並置き、七日ばかり過ぎ候て玉返しいたし候、二十日ばかりにて仕入れ候、 その節右の玉を大桶に入れ水に半日程漬け置きよく洗い候上にて、莚[てい、わら]の上に積み重ね、その上へ莚[むしろ]をかけ、 一夜置き翌朝に相い成り庖丁にて細かに切り、莚の上にて、塩、糀一同よくよく交ぜ合わせ桶に詰め入れよくよく押し付けその上に振り塩いたし置き、 風の入らぬように蓋をいたし置き、右糀一升に付、米二三升飯に焚き、交ぜ合わせ一夜造りにいたし候て入れ候もよろしく御座候。 大豆一升に付き並塩三合、糀三合〔の〕割合、上糀三合右焚き候時節、雪白水にて焚き候もよろしく、 又た二、三、四月中までも焚き申し候、二月上旬ならば二十五日ばかり差し置き〔放置し〕三月ならば二十日ばかり、 四月ならば、十四、五日にて仕入れる。
備考:合類に記述無し(江戸料理辞典に記載なし。)