食菜録

下巻14

山もも酒の方

原文
古酒諸白二年酒 八升 
山桃 一斗(但し少しも古きは悪しく候、少し前方なるは、 よくよく自然水にて洗い候えば水気無きように日に干し申し候)
白砂糖 二升 
塩 一合(但し少し控え目に仕り候)  
右一つに致し壺へ入れ、板にて蓋を仕り口をよく張り、地に埋め、蓋の上に土一寸余り有る程に埋め、 その上にて藁[わら]二三束ほど焼き申し候、その火の独り消え候程置き、その後壺を堀り、涼しき所に置き申し候、三七日〔二十一日〕過ぎ、 酒をよく濾[こ]し、山桃を布にて、漆を濾し候ように搾[しぼ]り候て、糟[かす]を捨て申し候、右の酒、来年までも損ね申さず候。

備考:合類巻一には「楊梅酒」という項目がある。内容は全く異なる。