下巻176
鮎、骨拔の事
原文
五月頃に相い成る時は、鮎の骨堅く相い成る故、骨を抜きて用ゆるなり。
右は取り立ての新しき鮎を(図解有るも略す)図の如く尾の上にて焼きてあつき所を紙の上へとり、手にて焼たる餅を押す如く、
背と腹とより指にて押しひしぎ、その後頭の方、皮と身とを切り、首をつまみ引く時は、小骨まで残らず抜けるなり、その後ひれ等の骨は、
その所を裂きて去るなり。(はらわた有りの儘左様する時は、わた共に取るなり。)
又た八、九、十月頃に子の多く有るは、前の如くする時は、子まで皆な出る故、是はよく焼いて前の如く背、腹より押して、
さて頭の方を切って捨て、尾の方切るべき所の皮と肉を切り、又た少し背の方と腹の方とを裂き置きて、尾を持ってさかに引くなり。
(但し背の方と腹の方と少々切置く、これは骨出ぬ故なり。) 左様して山椒、醬油のつけ焼きとするなり。
備考:合類に記述無し