食菜録

下巻179

ソツプ製法

原文
かしわ雌鶏〔メスの鶏の肉〕を、一羽毛を去り、嘴並びに足は股より下を去り、どり〔肺〕、ひゃくひろ〔腸〕を去り、かん袋(砂肝か?)、糞袋を去り、肝[きも]、ひらきも等は肝要なる故去らず。 水三升入れ煎煮し、半ば煮、煮詰まりたる時、鰹節一本削りて、味淋三合入れ煮る事、暫時[ざんじ] にして、滓[かす]を麻の袋にて絞りて、醤油五合を加え、再び煎し詰め、すべて一升ばかりにして、硝子瓶の中に入れ、水に浸し置き、今日の食用の品を 、この汁にて加い供し、滋養の大効これある事。
右を貯[たくわ]え置き、大根にても、牛蒡[ごぼう]にても、何にても煎る時しかるべき程、右ばかりを入れ、魚肉など、煎るにも右を用ゆ時は夜中暖めてよきなり、疝癪[せんしゃく] 持ちなどは、寒三十日、日々用いてよし。 

[主な食材]

鳥がら、かつお節、
醤油、味醂

備考:『彰往考来』では食菜録特有の料理であると、推測している。オランダ語のsoep、即ちスープ。