原文 餅米 一升、もみ糀 五合、焼酎 一升、(但し、餅米 五合、糀 三合にてもよし、是は松花酒より甘みこれ無く出來る。) 右餅米をよくよく磨[と] ぎ、一夜水へ冷たし、蒸籠[せいろう]にてふかし人肌にさまし、糀をもみ交ぜ焼酎に入れ目張をして置く、目張はよくよくすべし、 悪しき時は酒気ぬけて馬鹿に成るなり、甘く出来候ても早く悪しく相い成り、七日目毎にかき回し(但し、五十日の間に二三度かき回してもよし) 日数五十日(但し、冬は七十日ばかり)にて出来申し候、餅米、糀の多き方甘み有るべし。(此処に図解あれども略す。) 右の通りにても宜しく候処、焼酎多く米糀少々故、甘味薄く出来申し候、右を濾し笊の如き物へ新しく麻布を敷き候て、もろみの儘入れ候えば、 押しなで仕り候にも及ばず、直ちに濾し酒に相い成り申し候、余り絞り過ぎ候得ば滓の味悪しく相い成り申し候、滓も目張を致し置き候方宜しき。 (但し、一度濾し候て半日も置き候えば、澱は下へ沈み候間、上澄みを取りて、貯え置き澱?をば当座に用い候方宜しく候。)
備考:慶長年間の文献に類似記述があるらしい。