原文 水一斗の中へ塩三升入れよく揉み砕き、唐金[からかね]〔銅、錫を主体とし、鉛、鉄、ニッケルなどを加えた合金〕 か赤銅[あかがね]鍋〔銅に金3~4パーセント、銀約1パーセントを加えた合金〕へ入れ煎じ候て、 又た唐金か赤銅の鉢へ入れ冷まし申し候、二日も三日も置き冷めきり候程冷し壺へ入れ柚を漬け申し候、 同じくは赤銅より唐金の道具よし。柚 百本(葉を付けたるがよし)、同 二十(これは輪切りにして) 右李[すもも]程の青柚に候わばかくの如く候、柑子[こうじ]密柑[みかん]ほどの柚に候わば、百の内を二十切てよし、 右の汐〔塩〕水へ入れ壺を半分程出し、土に埋め置き申し候、尤[もっと]も壺の口をよく包み申し候、来年まで耐[こた]え申し候。
備考:合類巻三では「柚子の漬け方」。本文の表現に若干の違いあり。 「原典現代語訳日本料理秘伝集成」第一巻(同朋舎,1985年) P.151