原文 寒の内に、ところてんの藻の白い処ばかりを何辺もよく洗い大釜に入れ、白水の三ばん(?)をひたひたより多く入れ煎じ、 右の藻の溶け申し候時、水嚢[すいのう]にて濾[こ]し申し候。桶に入れ置き候得ば、固まり申し候。 滓[かす]あらば何返も煮申し候。固まり候ところてんをを長さ三寸、四方に厚さ二寸程に切り申し候。 かんかん申し候夜、外へ出し一夜置き候えば、右の如くに凍り申し候。 日なたへ出し四日も五日も夜昼外に置き申し候得ば後は渋紙〔和紙を貼り合わせた上に柿渋を塗り、強くした紙〕のようにひしげ申し候。 凍り候内、細々[さいさい]水を掛けさらし候えば、白く見事になり申し候。よく干[ひ]きり、 紙の如くに成り申し候時に取り入れ申し候。雨少しにてもかかり候得ば黒く成り悪しく候。 料理の時は水にて洗い細かに刻み煎酒にても酢味噌にてもよく候、又た汁へ入れ吸物等に仕り候時は、 切り候て成りとも、水にて洗い置き椀へ入れその上へ汁を入れ申し候、鍋へ入れ申し候えば消え申し候。
備考:合類巻三では「凝りところてん」。本文の表現に若干の違いあり。