原文 小麦のから粉 一斗(但し二番引までいたし、うどんの粉を取り申したるがよく候) 塩(夏、秋は一合但し八夕にても春冬五夕にても但し少し控え候てもよく候、塩過ぎ候えば、塩辛く御座候) 水(よく捏ね合わせ申し候、捏ね加減は手にて押し付け見申し候、指の間より出で申し候程の水加減よく候) 右よくよく捏ね候て臼へ入れ押付け候て寝させ申し候、熱き内は一時、寒き内は二時ばかりも寝させ置き、 その後そろそろと餅を搗[つ]き申し候如く、搗き申し候えば麩になり申し候、その後水の中にて何返ももみ洗い候えば滓[かす]取れ申し候、 少しずつの滓は薄刀にて切り除け候てよきかんにちぎり申し候、その後湯煮を仕り候、湯煮いたし候様、 湯の煮え立たぬように沸しその中へ麩を入れ杓子にて何返も撹き、湯、煮へ立ち候えば幾度も水を差し煮えたたぬように仕りたるがよく御座候、 その後麩の煮へ加減は、何も浮き上りたる時よく御座候、そうべつ〔そもそも〕麩を捏ねる時も、揉み候時も同じくは流れ川の水よく候。
備考:合類巻三では「麩の方」。本文の表現に若干の違いあり。