原文 大麦 三斗(よく搗きて)、黒大豆(八升少し炒りて二割程に引く)右二色一つに合わせ、蒸してねさせ、 醬油の如く糀にねせ、一日干して揉み砕き、冷まし申し候、水一斗、塩五升、水中にて汐〔塩〕を揉み砕きこし候て煎じ、 冷え候ほど、一日も二日も冷まし、右の麦、大豆を入れ、よくよく混ぜて合わせ、桶に入れ、時々攪拌〔かきまぜ〕、 風のひかぬようにいたし置き、五十日程過ぎて、その後、加薬〔具〕を入れ申し候。黒大豆の粉 三升(少し、炒り)、 餅米の粉三升(少し炒り)白砂糖 一升、生姜 一升(小米程に刻みて)、胡桃 二升(渋皮を取りこれも、生姜程にして)、 山椒 四升(二割にして但しつけ山椒ならば汐〔塩〕をいだして一粒ずつにして、はかり申し候、から皮を入れ候わんと存じ候時は山椒 二升、 から皮 二升にいたし候)陳皮 一升(生姜ほどに刻みて)、紫蘇 四升(細かにきざみて)、白胡麻 二升(炒りて荒く摺りて)、 黒胡麻 三升(上に同じ)右の粉、最前の味噌の中へよく搗き合わせ、桶に押し付けて、入れ置き、 風の引き候わぬように仕り十日程過ぎて遣し申し候。
備考:合類巻一では「とうこ味噌」。本文の表現に若干違いあり。 「原典現代語訳日本料理秘伝集成」第一巻(同朋舎,1985年) P.115によると 二割・・・二つ割り