食菜録

上巻64

鯖の汁の仕様

原文
鯖の骨も身も、よくかん〔よい加減〕に切り、よくよく塩を洗い捨て、さっと干して、その後、又、水にて洗えば、なすび汁へも、にんじん汁へも、入れてよし。〔鯖の骨も食べる?〕

[主な食材]

鯖、大根、
京人参

備考:『合類』に記述はないが、『八百屋集』に同名の料理の記述がある。
『八百屋集』は、著者不明の江戸時代の料理本である。
元禄6年(1693年)には成立していたとみられる(合類は、1689年刊)。
川上行蔵編著「料理文献解題」(柴田書店、1981年)152頁によれば、
「八百屋集」の「記事は大体合類日曜料理抄の写しとみて差し支えないが、記述項目の順序は異なり、字句も多少変更した点がある。・・・また、新たに追加した項目もある」
『彰往考来』によれば、にんじん汁とは、
「人参を使った汁のことではなく、人参を切るように切った、つまり大きい輪切りにした大根の汁のことである。」