原文 鳥の身も、骨も、細かにたたき申し候、鷹[たか]野にて〔鷹狩の際に〕仕り候時は、溜り血[たまりち]をそのままその身骨にかけ、 よく混ぜ申し候、締め鳥ならば、背骨に固まり候血をとりて混ぜ申し候、大鳥にても、小鳥にても、としり[鳥尻]を切り捨て、 腸[わた]もよけ、丸[たま]はもっとも取り申し候、鳥の分量一升あらば塩を五合混ぜ、手にてよくもみ合わせ、塩へ入れて、十日程も過ぎて、又取り出し、 糀を入れ申し候、〔味噌の〕溜りを入れ候わば、糀二合、さもなくば五合加え申し候、右の糀はなおよくもみおとし、 糀の粕[かす]をこげ色に炒[い]りて臼にて引き、はなと、一つにいたし、鳥の中へよく混ぜ、古酒を少し加え、又よくたたき候て、 ひしおの汁さほどに仕り、又た壺へ入れ、風のひき候わぬ様に、口を仕り七八日程過ぎて、よくござ候、 又小鳥も同じ事にて候、雁、鴨新しきを料理に遣し、その胴殻を不断にいたし候てよく候。
備考:合類巻四に「鴈鴨のたたき」。本文中に、合類とは違う記述がある。