原文 餅上白米を寒三十日、水にひたし、一日一夜に一度ずつ替え、三十日過ぎて、取上げ日によく干して紙袋に入れ置くなり、 餅にいたし候時は右の米を水にて、湿し、臼にて、叩き〔搗き〕、絹篩[きぬぶるい]にて、よくふるい、いかにも熱き湯にて、捏[こ]ね申し候、 初めは熱く候て、手さえ入れられず候を、箸にて廻し、少し冷め候てより、手にて成程〔なるべく〕、捏ね回し候えば、 搗[つ]きたる餅のように成り申し候、よき加減にちぎり、鍋に湯をたて、その中へ入れ煮申し候えば、あがり申し候、その時取り上げ、 豆の粉へなりとも、又小豆へなりとも取り申し候、味噌にて煮候わんも存じ候えば、湯になしに、すぐに、 ふくさ〔合わせ味噌の一種?〕へ入れ申し候。
備考:合類巻二では、「寒晒の餅」。本文の表現に若干違いあり。原料の餅米を水に長期間浸け置きし、のち陰干しするもの。 脂肪分が減って粒子が細かいのが特徴。