中巻11

あるへいとう

原文
砂糖水、ひたひたに入れ木綿にて漉[こ] し、塵 [ちり]を取り火をゆるゆるして、煎じ候えば、ねばり出て来申し候。箆 [へら] にて付け、水へ入れ扱[しご]き見候えば、冷めては折れ申すものに候。その時、鉢に入れ水せんにして、ぬるく冷まし、飴の如くに、 ちと固まり候時、手にてなるほど、引き延ばし、薬練 〔松脂を油で煮て練りまぜたもの。粘着力が強いので、弓の弦などに塗って補強するのに用いた〕を致し候様に仕り候。白く成り申し候、成りは如何[いか]ようにも心次第に候、白砂糖よく候、氷砂糖にては猶々[なおなお]よく候。

備考：合類巻二と題目は同じ。本文の表現に若干違いあり。
「原典現代語訳日本料理秘伝集成」第一巻（同朋舎,1985年） P.141によると
塵・・・ごみ
ゆるゆるして・・・弱くして
煎じ・・・煮立てる
ぬるく・・・ゆっくり
ちと・・・少し
なるほど・・・できるだけ
成り・・・形