原文 一、たいとう餅上白米、水にて洗い〔防腐剤として〕椿の灰汁にて、洗いたる米をひたし、飯に炊き加減、常の飯ほどにして、桶へ取り上げ又た、 椿の灰汁ちと〔少し〕づつ、打水にして、箸にて捏ね合わせ候えば、よせ加減に練れ申し候、さて一つ一つになりつくり候て、眞菰[まこも] か、熊笹[くまさき]にて、巻き申し候、その後、ゆで候事、煮え湯へさっとつき入れ上げ申し候てよく御座候。 一、同方、餅米一升、椿の灰汁二升、まず二番の灰汁にて、米付き〔搗き〕こわく蒸し候て、一番の灰汁を蒸したる、 強飯〔米を蒸して飯にしたもの〕の上に、打水にして柔らかに蒸し候てつき申し候。(著者注、「うむし」は「蒸し」の方言である)
備考:合類巻二では、「朝比奈粽」。本文の表現に若干違いあり。朝比奈は、現静岡県藤枝市岡部町朝比奈地区か?