食菜録

中巻2

茂ろこし餅

原文
寒の中にても、何成りとも、蜀黍[もろこし]を〔の〕洗皮[あらかわ]を、石臼にて、ひきすて候て、その後又よき所を、石臼にて、成程〔なるべく〕細かにひき、 蒸籠に掛け申し候。さて下り申さず候を何べんもひき、せいこう〔蒸籠?〕に掛け申し候。水にてかきたて、木綿の袋へ入れ、水の中にて、もみ出し、水を三返も替え、あくを取り下にいさせ、 上の水を捨て日に干し申し候、餅の時は固まり候を粉にいたし、熱き湯にて捏[こ]ね、湯におして、浮き上がり候時、豆の粉へなりとも、小豆へなりとも取り申し候。 餅の粉入れ申さず候ても、苦しからず候。餅の粉入れ候時は、餅の粉三分一入れ申し候。

[主な食材]

もろこし粉、
餅粉

備考:合類巻2では「もろこし餅」。本文の表現に若干違いあり。
「原典現代語訳日本料理秘伝集成」第一巻(同朋舎,1985年) P.127によると
三反・・・三回