原文 小豆一升、葛二号七勺、黒砂糖二百五十匁、黒砂糖ちりをよく取りその中へ、 木綿の袋に入れ候、小豆の粉を、砂糖の分量、大栗ほど入れ申し候、されども砂糖固く候わば、 大栗ほど、又た、入れ申し候、かき回し候えば、砂糖ゆるやかに成り申し候、 その時、綟〔麻糸で織った目の粗い布〕にて念を入れ漉[こ]し、塵[ちり]、かすを、捨つるためなり。右の小豆よく煮て、 その後、摺鉢にて摺り、水嚢〔こし器の 一種 で、曲げ物の 底部 に馬の尾の毛や 金属 などの細かい網を張ったもの〕にて皮を取り、 よく漉し、又た汁を木綿の袋に入れ絞り申し候、水気をよく取り申し候、その中へ葛、砂糖を混ぜ、さてなりはいかようにもして、 竹の皮にて包み、その上を、木綿にて包み、蒸籠に入れ蒸し申し候、加減は、蒸籠の内へ生なる豆少し入れ、その大豆の食われ候ほどの間、 蒸し申し候、その後取り出しよく冷まし、竹の皮ともに切り申し候。(石島注「すいのう」毛又は銅綱製の篩(濾器)である。)
備考:合類巻二では「羊羹の方」。本文の表現に大きな違いあり。