下巻32

漬松茸の仕様

原文
松茸のつばみたるを、いしづきを切り捨て、湯煮をして成程よく煮申し候、 開きたるは傘〔笠〕と莖〔軸〕と別にして同じく煮え加減にいたし滴をよく垂し成程〔可能な限り〕 よく冷え候程冷ましいかにも白塩を桶の下へ置き、松茸をその上に摺[す]れ合わぬように並べ、 また塩を松茸の隠るる程に振り、生松葉を間々に置きかくの如く上まで段々[だんだん]に漬け申し候、 桶の底に四所も五所も細く切揉[錐きりもみ]をいたし塩汁を垂し申し候、塩水溜り申し候えば、松茸腐り申し候。

備考：合類巻三では「松たけの漬け方」。本文の表現に若干の違いあり。
「原典現代語訳日本料理秘伝集成」第一巻（同朋舎,1985年） P.150によると
滴をよく垂し・・・水切りをして
切揉・・・錐で穴をあけて