食菜録

上巻3

鮎の鮨 但し美濃漬の流

原文
新しき鮎を腹をあけ、少しも洗い申さず、そのまま一日にても、一夜にても塩押しにして、 明日〔翌日〕その塩水にてよく洗い、その時、えらを取り、その上を一遍よき水にて洗い、焼き見候て、 少し塩辛めなるがよく候。上白米の飯、冷え候ほど冷まし、腹へ、成程〔なるべく〕よく込[こ]み[め?] 申し候。飯を握り、腹へ入れたるがよく候。その外の飯をば一遍洗い、雫をよくたらし食[飯?]たくさんに漬け申し候。 早く食べ候わんと存じ候えば、少し軽めに重し置き申し候、 又少し久しく置き申し候には、重しを強く置き、蓋の上に塩水を溜め候て押し申し候時、塩水をあけ取り出し、蓋をし、 重しを置き又塩水を溜め置き申し候。

[主な食材]

鮎、飯、

備考:合類巻四に「美濃漬鮎の鮨」。
「原典現代語訳日本料理秘伝集成」第一巻(同朋舎,1985年) P.170によると
少しも・・・全く
一遍・・・もう一度
上白米の飯・・・精白sた米の飯
よくこみ・・・つめこむ
雫をよくたらし・・・雫をよく切って
久しく置き・・・長く持たせる