食菜録

上巻51

鳥なますのしやう〔仕様〕

原文
雁にても、鴨にても、身を二つ三つにへぎ〔剥ぎ?〕、油皮を取り、なる程、細く作り、温め、酒にて一返洗い、酒を捨て、酢は鳥のどうがら[鳥がら]を入れ煎じ、少し冷まして、右の鳥にかけあえ申し候、わさびを入れ申し候、花鰹〔削り節の一種、鰹節を薄く削ったもの*1を少し混ぜてもよし。
冬のなますは、温めても、温めずにも少し、煎り酒をさしたるがよし。
夏のなますは、鯉、鮒の外は、煎酒少しでも悪しく候、水ばかり加えてもよし。

[主な食材]

鴨、山葵
糸かつお、酒、酢

備考:合類巻四では「鳥鱛」。
*1 中村幸平著「新版日本料理語源集」より引用
「原典現代語訳日本料理秘伝集成」第一巻(同朋舎,1985年) P.181によると
なる程・・・できるだけ
ばかり・・・だけ