原文 黒米 一斗(酒飯)、糀 三升、 水 三斗(但し四升程控えてよし) 右水を桶に入れ、 さて糀を攪き回し、食の熱き内に桶に入れ攪き回し桶の口をよくよく包み七日目々々々〔四週間?〕に五度かき申し候。 日数三十七、八日程にてよく御座候。その後酢を立て汲み申し候、二番、右一番の酢を取りて白水を五升、 糀二升入れ、右の如くかき回し申し候。酢の置き様は一番の酢を汲み候て桶に入れ候得ば底に滓留り申し候。 その上澄をよく汲み底の滓は又た本へ入れくみ申し候。少しも酢濁り候えば替え申し候。その後は樽に入れ置き申し候、 二番同前の事。 同 醤油の法 つき麦 一斗(炒りてざら引〔挽〕こまかなるをさる) 大豆 一斗(炒りて二つ割に引き、皮を取り麦の細かなるをかけ糀に寝させ) 塩 一斗に水一斗八升入れ、煎じ一夜冷まし右の糀とかき合わせ又た外に米糀五升入れ日数五十日程過ぎて 白米一升五合に水一斗三升入れ粥に煮て一夜程冷まし前の醤油に入れ六、七日かき合わせ口をつつみ二十日過ぎてあけるなり。 二番 醤油 大麦 一斗、大豆 一斗(高々)、米糀 三升、塩 一升五合、白米 一升に水一斗入れ粥に煮て冷ましかき合わせ。 右一番に塩一斗、二番に一升一合よし。一七日〔七日間〕かき合わせ二七〔十四〕日程蓋をいたし置き、その上に酢を立てくみて申し候。
合類巻一では「酢の方」。本文の表現に大きな違いあり。合類より詳しい。 同名レシピ:酢の方(下巻68)