食菜録

上巻1

正宗流鮭の鮨

原文
新しき鮭三枚におろし、一日一夜塩押しをして、明日鮨に漬け申し候。
右塩水にてよく洗いあげ、上白米、常の食よりは、少しこわめに致し〔固めに炊き〕、米五升に糀二升二合の割合に混ぜ合わせ、 酒五合、食糀へ合わせ、魚のすり合い申さぬように、飯たくさんに置き申したるがよく候。重しは大方常の加減に候。重しの上へ、 塩水に酒を少しく加え、この水を溜めて置き申し候。鮨乾き申し候えば、悪しくなり申し候。醤[ひしお]も入れ申し候。 取り出し候て後、蓋重しをして、又、右の水を溜め置き申し候。

[主な食材]

鮭、糀、
飯、酒

備考:合類巻四。
「原典現代語訳日本料理秘伝集成」第一巻(同朋舎,1985年) P.170によると
一日一夜塩押し・・・一昼夜塩押し(塩をかけ軽く重石をし)
大方・・・大体 〇この本では糀一升二合となっている。 〇鮭を三枚におろし、一昼夜塩押しし、翌日すし飯につけ込むもの。
鮭は塩水で十分に洗う。すし飯につけ込む時は、酒が擦り合わせないように、すし飯を十分に置く。