食菜録

上巻23

さけのいりもの

原文
鮭の腸[はらわた]、同じく中うち〔中骨についた身〕こそげて摘みいり、鮭の薄み細くつくり、腹子〔筋子〕、半分はそのまま、 半分は摺りて、さて、煎り酒に水を混ぜて煮やし、その中へ、右の色々入れてとり、濃醤〔こくしょう:味噌を濃くといて、魚、鳥、野菜を汁多くして煮たもの*1〕 もしねばりなく候わば、葛粉を少し入れてよし。酢を加え申し候。

[主な食材]

鮭中おち、片栗粉、卵白、
腹す、筋子、葛粉、煎酒

備考:合類巻五。この記述は、合類における記述より詳細である。なお、とても廃棄が少ない工程である。
*1 中村幸平著「新版日本料理語源集」より引用
「原典現代語訳日本料理秘伝集成」第一巻(同朋舎,1985年) P.191によると
薄み・・・薄身
〇鮭をつみれ団子にするもの。